ペアプロジェクト

今私は社会人向けの臨床心理専門大学院に通っている。いやぁ、働きながら大学院の勉強、そしてヒーリングのスクールにも行くなんて、わたしよくやってるなと自分でも思うときがある。4月の終わりにぎっくり腰になってしまったので、体にはくれぐれも気をつけなきゃとは思う。


さてさて、大学院のクラスの一つにオンライン授業なるものがあって、かなり日々それに時間を費やしている私。毎回1週間単位でその週のテーマがあり、それについて課題が出されるというものである。そしてその課題に回答し、オンライン授業のサイトに掲載する。その回答にクラスメイトが次から次へと考察を加えて行き深いディスカッションを展開していくという仕組みである。世間でいう掲示板と一緒ですな。


今学期のオンライン授業は「パーソナリティ特論」で、その名の通りパーソナリティについて深く研究していくのだ。今学期はペアプロジェクトというのがあり、私は今週その担当になっているのです。ペアプロジェクトとは、ペア(これは先生が決める)になった2人がその週のオンライン授業のファシリテーター(グループを引っ張っていく役目)となり、ディスカッションを盛り上げていくというものである。これにはかなりの技量がいる。細かく理解する力と全体的な視野で物事を見ていく力。ファシリテーターの仕事として、オープニングメッセージを出し、最後にその週のディスカッションのまとめを掲示するということも義務付けられている。


このペアプロジェクト、単にメッセージを一緒に考えるだけ・・・の作業と考えるとあまり収穫がない。でも本当はペアになるということ自体がとても意味のあることなのである。なぜペアを組ますのかということである。それはペアになった者同士が信頼関係を築いていなければ、プロジェクトは成功しないという隠された意図があるからである。ここがこのペアプロジェクトの目的であるように思うのだ。


私のペアは普段から仲のいいNさんで、先週から打ち合わせと称して長電話(久しぶりに朝日を見たな・・・)やリアルタイムチャット機能など(あぁ、睡眠時間が無くなっていく・・・)を使ってコミュニケーションを図ってきた。私達のやっていたことは一見無駄話にみえるかもしれないが、ひじょーーーーーに意味のある作業である。お互いの感じていることや今までどう生きてきたかを素直に語り合うこと。これこそが、相手を理解するという一番の近道なのだ。


相手の話を真剣に聴く、自分の話をする。実はとてもシンプルなことが一番大切なのである。これを積み重ねていくと、普段言いにくいなと思う自分の性格や行動も言えるようになっていく。それを積み重ねて二人の間には「信頼関係」が築かれる。そしてその信頼関係は「安全」だという空間を生み出すのである。「安全だ」という感覚はつまり、「私はここにいていいのね」という自己承認にもつながっていく。うーむ、深い。実に深い。


大学院にいっても研究論文だけ読んでいてはあまり意味がないように思う。こうしたことをしっかり自分で体験として実感していくことが何よりも大切なことなんだと感じているのよ、わたしは。だって、この作業がまさしく「セラピー」なのだから。