震災10年目によせて

神戸の祈り

今日であの震災から丸10年。テレビではメモリアル番組が放送され、まだまだ私の中でも癒されていない部分があるということに気づく。家や家族の被害がなかった私でさえこうなのだから、ご家族を震災で亡くされた方々のお気持ちは想像を絶するものだと思う。私には震災の時にご家族全員を亡くされた古くからの友人がいる。その友人は当時「なんで私も死ななかったのか。私も連れて行ってくれればよかったのに」と言った。私や他の友人はその子にかける言葉もなかった。何にもできない自分がとても歯がゆく、無力だと感じた。でもそれでもその友人が生きているということに感謝せざるを得なかった。そして辛いけど生きていてほしいと心から願った。その友人は学生時代口が悪かったが、震災を経験して人間的に丸くなった。震災から何年かして、その友人は「全国の人から励まされて、優しさをもらってありがたいと感じるし、感謝している」と言った。私もそれを聞いて嬉しかった。人は人とのかかわりの中でしか気づかないし、成長しないんだと思う。生きているというか、生かされていることには意味がある。私がこうして生かされてカウンセラーという仕事をしているのにも意味がある。私が人のためにできることなんてたかが知れているけど、それでも私の存在で少しでも心が軽くなる人がいる限り、この仕事を続けていこうと思う。